「逆行する惑星」発見 国立天文台などの日米の研究チーム
11月5日7時56分配信 産経新聞
 恒星の自転と逆向きに公転している太陽系外惑星を国立天文台などの日米の研究チームが発見し、学術誌に論文を発表した。「逆行する惑星」は理論的に存在が予言されていただけで、実際に観測例が論文になったのは初めて。惑星の進化の仕組みを探る重要な手掛かりになるという。
 この惑星は、地球から約1千光年離れた白鳥(はくちょう)座の方向にある「HAT−P−7b」。木星の約1・4倍の大きさがある。研究チームはハワイにあるすばる望遠鏡で、この惑星が中心星の手前を横切る様子を観測。中心星の自転と逆向きに、約2日の周期で公転していることを突き止めた。
 惑星は、若い恒星の周囲を取り巻くように回っていた塵(ちり)やガスが衝突、合体して誕生する。このため、通常は中心にある星の自転方向に回ると考えられており、地球など太陽系の惑星は、すべて太陽と同じ向きに公転している。
 研究チームの田村元秀・国立天文台准教授は「常識破りの惑星が見つかったことは驚きだ。逆行する惑星は宇宙では意外と多い可能性もあり、太陽系が特別な存在なのかもしれない」と話す。
 逆行する惑星は、複数の巨大惑星同士が重力で互いにはじき飛ばされたり、双子のような連星系で惑星の軌道が変化した場合に生まれるとされていた。今回の仕組みが分かれば、多様な太陽系外惑星の起源や進化の解明に役立つという。質量が小さく軌道が変わりやすい小惑星や衛星では、逆行する天体がすでに太陽系で見つかっている。
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